6959で触手プレイ【web clap Log】















 これは、夢だ――

 朦朧と霞む意識の中、獄寺はそう自身に言い聞かせた。
 そう、これは夢で、現実に起こりうるはずがないことだ。
 「っ・・・、ぁ――・・・」
 しかし身体を這う触手の感触は鮮明で、夢と呼ぶにはあまりに生々しい。抵抗しようと振り上げた腕や足は触手に絡み取られ、肌に食い込むほどの拘束は獄寺 の白肌に赤い跡を刻む。それが与える痛みに――そして快楽に――息を詰まらせながら、獄寺はもう一度、これは夢だ、と頭の中で呟いた。
 「ひ、っ・・・ゃ、ぁ・・・・っ」
 粘膜に覆われた触手は獄寺の肌を悪戯に掠め、その愛撫にもまがう行為に、口元に熱い吐息が上がる。触手の撫で上げた肌には粘膜が軌道のように残り、それ はどこからともなく差し込む光に反射しててらてらと卑猥に艶めいた。
 「愉しそう、ですね」
 唐突に響いた声は、頭に直接送り込まれてくるような切迫感を孕んでいた。獄寺は声の聞こえてきた方へ視線を送り、そうして闇に溶け込むようにして佇む男 の姿を見つけるとその顔を怒りに歪ませた。
 「む、・・・くろ、――て、・・・め、え・・っ」
 「おや?僕の名前を覚えていてくれたのですか」
 光栄ですね、と呟いて骸は小さく笑った。
 「ざけ、・・・たこと、言ってんじゃっ・・ねえ。はや、く・・・俺を――解放、し・・ろ・・・」
 「解放、ですか?それを僕に願うのはお門違い、というものですよ」
 にい、と薄闇から覗いた骸の唇が弧を描いた。
 「ここは君の夢の中・・・それらは全て君の作り出した妄想に過ぎないのですから」
 僕にはただこうして指を銜えて見守ることくらいしか出来ませんよ、骸はクフフ、と謳うように笑いながら一歩、獄寺へと足を進める。闇から姿を見せたオッ ドアイがじっとりと自身の姿態へ向けられているのを感じとり、獄寺は羞恥と屈辱で頬に熱が集まるのを感じた。
 「だ、・・・ま、れ・・・っ、!」
 乱れたシャツの間から忍び込んだ触手が胸元の飾りを弄び始め、獄寺は鋭く息を呑んで背を撓らせた。触手はそれぞれ意思を持っているかのように――いや、 意思を持っているのだ――奔放に獄寺を攻め立てた。分泌する粘膜を肌に塗りこむような動きを見せる触手に、獄寺は顔を引きつらせる。四方から伸ばされた触 手が敏感になりはじめた胸元の飾りをこね、摘みあげる。獄寺は唇を噛み締め、それらが与える刺激に耐えようとした。しかしその触手が快楽の中心に触れる と、身を震わせた。
 「っ、ぁ・・や、・・・めっ」
 触手が服の上からゆっくりと欲望を揉みし抱くように動き、獄寺の目に生理的な涙が滲む。触手から滲む分泌物と自身の先走りで、ズボンがしっとりと濡れて くるのを獄寺は感じていた。触手はしばらく服越しに獄寺の花芯を弄んでいたが、ベルトを外すと服の隙間から内部へと侵入した。
 「ぁ、・・・・ぅ、ぁ――」
 ねっとりと花芯にまきつく触手に、獄寺は弱弱しく首を振って抵抗の意を示す。しかしそのような抵抗が触手に通じることはなかった。花芯に絡みついた触手 は波打つようにゆっくりと動き、その直接的な刺激に獄寺の口から押さえ切れない声が漏れる。
 いつしかズボンは下着もろともに引きずり下ろされ、床に無造作に打ち捨てられていた。むき出しの足首に絡みついた触手が獄寺の足を大きく開かせる。全て を曝け出すその格好に、獄寺は唐突にこちらを見守る骸の存在を思い出してなんとかその格好から逃れようと身を捩った。しかし、無数の触手に拘束された身で はたいした抵抗も出来ず、ただ誘うように腰が僅かに揺れただけだった。小さく、骸の笑い声が響いたような気がした。我武者羅に抵抗を続けていた獄寺は、触 手の細い先端が花芯のさらに奥、閉ざされた蕾の入り口に宛がわれるのを感じて息を呑んだ。
 「い、・・・や、だ・・・っぁぁあ!」
 獄寺の切願の声は、熱を孕んだ喘ぎへと変わる。ゆっくりと、次第に深く進入してくる触手の動きに獄寺は恐怖を覚え、激しく首を振った。乱れた銀髪が首筋 を打ち、しっとりと滲む汗が艶かしく肌を伝う。粘膜に覆われた触手は狭い内部を円滑に進んでいく。
 「ゃ、・・・ぁ、――」
 信じられないほど奥を突かれ、獄寺の瞳からそれまで堪えていた涙が溢れる。それは頬を伝わって床に落ち、弾けた。
 「く、・・・ぅ、・・っ、ぁ」
 がくがくと腰が震える。それは得体の知れないものに犯される恐怖のためか、快楽のためか、もう今の獄寺には分からなかった。花芯に絡みついた触手は絶え 間なく痺れるような刺激を送り続け、二箇所を同時に攻め立てられて獄寺の意識が白化する。ゆっくりと蕾を弄っていた触手が、獄寺の性感帯を捕らえた。
 「っあ、・・ぁ、・・・っん、」
 思わず上がる高い声、しかしそれを恥じる余裕などなかった。
 獄寺の感じる箇所を心得てか、触手は集中的にその一点を攻め立ててくる。前を刺激する触手の動きも激しさを増し、獄寺の息が上がる。
 「や、め・・・・ぁ、ああ――・・っ」
 唇を戦慄かせ、獄寺は欲を放った。ぱたた、と飛び散った白濁が獄寺の腹を汚す。ぐったりと力の抜けた獄寺の口からは絶えず浅い息が漏れ、口の端には漏れ た唾液が煌いていた。
 「っ・・・な、・・・ぁ、!」
 息を整えるのもままならない獄寺に、しかし触手はその動きを止めることはなかった。貪欲に獄寺の内部を犯し、花芯から全てを搾り取ろうと蠢く。達したば かりの敏感な身体にその刺激はあまりに激しい。息も吐かせぬほどの攻めに、獄寺は泣き叫んだ。
 「や、だ・・・も、・・・めろ、・・・やめろ!!」
 「――おかしなことを言いますね。先ほども言ったはずですよ」
 涙交じりの獄寺の声に重なったのは、酷く穏やかな声だった。ぼんやりとした眼差しを向けた獄寺の前で、骸は身を震わせて笑っていた。それは愉しげに、 笑っていた。
 「全ては君の妄想・・・君は、君自身の妄想に犯されているのですよ、隼人君」
 なんて浅ましい、骸は吐き捨てるようにそういうとその禍々しいまでの赤さを放つ唇を艶やかに歪ませた。
 朦朧とする意識の中、その奇妙な赤さが獄寺の瞳に焼きつく。



 醒めない悪夢の中、獄寺は意識を手放した。









2009.07.31