8059前提でスク59 【web clap LOG】















  「いつになったら堕ちてくるんだろうなぁ」
 背後で呟かれた男の声は予想を上回る質量を持って反響し、それが鼓膜を揺らす感覚に獄寺はふるりと長い睫毛を震わせた。獄寺の背後で、男、スクアーロは 笑ったようだった。
 「おまえからも説得してくれねぇか?」
 耳元での囁きに思わず振り返った獄寺は、触れ合うほどの距離にあるスクアーロの瞳にびくりと身を硬直させた。
 「あいつには剣士の血が流れている。おまえんとこのアルコバレーノも言ってたんだろぅ?――あいつは、生まれながらの殺し屋だ」
 スクアーロはそういってにやりと歯を見せて笑った。
 「あの時、俺とあいつの戦いを見ていたおまえなら知ってるはずだがなぁ」
 「……知らねーな」
 獄寺は静かにスクアーロから視線を反らした。はぁ、と掠れた吐息が獄寺の口に上がる。
 「あいつに闇は似合わねえ。……光の中で、馬鹿みたいに笑ってるのがお似合いなんだよ――俺が知ってるのは、それだけだ」
 「似合わねぇ、か」
 スクアーロの声が部屋に響く。と、突然スクアーロは獄寺の髪を乱暴に掴みあげ、そらされていた視線を無理やり自分に向けさせた。髪を引かれる痛みに顔を 歪めた獄寺は、スクアーロの表情を見て固まる。そこにあったのは、殺し屋の、顔だった。
 「だがあいつがこっちに来なくて困るのはおまえなんじゃねぇのかぁ?」
 「っ、……」
 言うと同時に背後から挿入されたままであった楔を突き上げられ、獄寺は息を詰まらせた。冷えかけていた身体がかっと熱くなり、吐息が震える。
 「知ってるかぁ?ここ、もうこんなになってるぜ」
 「、!ゃ……め、ろ」
 それまで髪を掴んでいたスクアーロの手が急に獄寺の花芯に添えられる。それまで一度も触られていなかった花芯は、すでに立ち上がって先走りの蜜を迸らせ ていた。獄寺はなんとかスクアーロの手から逃れようともがいたが、後ろ手に腕を拘束された状態では大した抵抗もできず、すぐに身体を押さえつけられてしま う。
 「寂しいんだろぉ?あいつに抱かれてぇんじゃねぇのか?可愛らしくあいつにオネダリでもしてみたらどぉだ?」
 おまえが頼めばすぐにでも飛んできてくれるんじゃねぇのか?、弾かれたように顔を上げた獄寺に、スクアーロは嘲笑を孕んだ口調でそういった。獄寺は暫く 無言のままスクアーロを見つめていたが、やがてそっと視線を落とすと「あいつに闇は似合わねえ」と先ほどと同じセリフを繰り返した。ぴくり、とスクアーロ の眉が痙攣した。
 「……愛故の犠牲、ってやつかぁ」
 くだらねぇな、スクアーロは吐き捨てるようにそういった。
 「なら、せいぜいサービスしろよぉ」
 「な、……ゃ、っやめ、!」
 スクアーロは投げ出されていた獄寺の両足を背後からすくい上げ、股を開かせた。目の前に設置されていたカメラの存在を思い出すと同時に、前から撮影して いるカメラに全てを曝け出している今の自分の姿態を認知して獄寺の顔にかっと赤みが差す。獄寺は必死でその恰好から逃れようとしたが、自身の体重により深 まった結合に鋭く息を呑んで身を震わせた。
 「ほら、もっとよがってみせろよ。今度あいつに送りつけてやるんだからなぁ」
 「ゃ、……だ、――ぁ、っ」
 獄寺はすでに呂律が回らなくなってきている舌の代わりにと、激しく首を振った。獄寺が首を振るたびに銀髪がスクアーロの鼻先を掠める。うっとおしいとで もいうようにスクアーロは獄寺の髪を掴むと、そうしてさらけ出された首筋に噛みついた。獄寺の口から悲鳴にも似た喘ぎ声があがる。
 「これを観たあいつの反応が楽しみだなぁ」
 獄寺の首筋にじんわりと滲んだ血を舐めあげながら、スクアーロは口を開いた。
 「もしかしたら――本当にもう一生あいつに会えなくなるかもしれねぇな」
 否、会ってくれねぇっていう方が正しいか?、スクアーロはそう付け足して獄寺の耳元に唇を寄せた。
 「それとも……」
 にやり、とスクアーロの唇が歪む。
 「こっちに来るかもしれねぇなぁ……俺と、おまえを殺すために――」
 なぁ、楽しみだとは思わねぇか?
 笑い声をあげるスクアーロに、獄寺の瞳から一筋の涙がこぼれた。









2009.07.31