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2759前提で家 59【Web Clap Log】











 かちり、灯されたのは蛍光灯。一番小さな光が、ひとつ。
 赤みを帯びた光が静寂の渦巻く室内に奇妙な淫靡さを与えていた。照らし出された影がゆらり、と閉ざされた窓辺のカーテンの上を滑る。
 「オレはこれでも君のことは高く買ってんだ」
 家光は床に敷かれた布団の上、横たわる獄寺を見下ろした。
 「ただ、知りたくてな」
 影になった家光の顔には影が落ち、その表情は窺い知ることが出来ない。しかし闇の中、一瞬煌めいた瞳から逃れようと、獄寺は腕を引く。背で腕を拘束する トラロープの結び目は固く、抵抗にもゆるむことはない。ぎしり、と喰い込んだロープが手首の柔い肌を傷付ける感覚に獄寺は僅かに顔を歪ませた。家光が気配 だけで笑う。
 「君がボンゴレの右腕に……否、オレのせがれにふさわしい人物であるか。なあ、獄寺君?」
 家光は横たわる獄寺に近づき膝を折ると、布団に散らばる銀の髪をひと房指先で弄んだ。近づくことで露わになった家光の表情に獄寺は息を呑む。口元には穏 やかな笑みが浮かんでいたが、煌めく瞳は鋭く獄寺の全てを見据えている。獄寺は身に何も纏ってはいなかった。
 今日、獄寺は勉強を教えてほしいとの言葉に二つ返事で頷いて綱吉の家を訪れていた。気が付けば夜も更け、獄寺はすすめに従い綱吉の家に泊まることにし た。夜中、綱吉の部屋で眠る獄寺をそっと呼び出したのは家光だった。廊下へ呼び出された獄寺は次の瞬間首への打撃に気を失い、目が覚めると服を全て取り去 られた状態で拘束されていた。そして、自身を見下ろす家光の瞳に気が付いた。
 家光の節榑立った手が裸の胸元に沿わされ、獄寺はビクリと身を固くした。家光がにやりと口元を歪める。家光の堅い指先が胸元の頂を掠め、獄寺は唇を噛み しめるとゆるゆると首を振った。
 「や、めて……くださ、い……お父様、――、」
 「お父様、か。なかなかそそられるが、どうせなら“家光さん”って呼んでくれねえか?」
 「ぁ、っ……――ん、」
 家光の指が胸の頂を摘まみ、獄寺はびくりと身を跳ねさせる。
 「随分と感じやすいんだな……ツナとはもう経験済みか?」
 笑みを孕んだ言葉に獄寺はかっと頬を赤く染めると、羞恥に染まった顔を隠そうと俯いた。家光は蛍光灯で照らし出された横顔を見つめながら滑らかな胸元を 弄び、引き締まった脇腹を撫で上げてから、獄寺の花芯に触れた。獄寺は目を見開き、抵抗を強める。
 「やっ、……やめ――」
 「声を出すのは構わねえが、隣の部屋で“十代目”が寝てることを忘れるなよ?」
 獄寺はぴくりと身を硬直させた。壁を隔ててすぐ隣の部屋には、綱吉の寝室がある。獄寺は慌てて唇を噛み締めた。
 獄寺が静かになったのを確認すると、家光は手の動きを再開させた。
 「ふ、……ん、ふ、」
 ゆっくりと揉みしだくように指を動かせば、獄寺の口からかみ殺せない吐息が漏れる。家光は笑いながら手の動きを早めていく。強く花芯を掴まれ、根本から 何度かしごかれると、獄寺はしなやかな背を撓らせ達した。家光は喉の奥で笑う。
 「若いな。それに、随分と濃い」
 ちゃんと定期的に抜いとかねえと身体に悪いぞー、
 家光は笑いながら白濁に濡れた指先を、呼吸を整える為に開かれた獄寺の口へ挿入させた。
 「んん、……ふっ、……く」
 口の中に広がる自身の蜜の味に、獄寺の目に生理的な涙が滲む。むっと広がる精の香りに、意識が朦朧とする。家光が指を退かすと同時に、獄寺は小さく咳き 込んだ。
 背を丸めて咳き込む獄寺の腰を掴むと、家光は未発達な細い身体を反転させた。日に当たらない白い双丘が家光の目の前に差し出される。家光は獄寺の放った 精を指に絡め、双丘の片頬を掴むと、その間に息づく蕾に躊躇無く指を差し込んだ。
 「っぁ――、い、た……っ、」
 突然の異物感に、獄寺は呻く。家光はもう一本指を差し込み、獄寺の蕾を犯した。獄寺は唇を噛み締めて、その痛みをやり過ごそうと努める。しかし、蕾を犯 す指がある一点を突いた時、獄寺の身体を感じたこともないような快楽が突き抜け、獄寺は身体をびくりと震わせた。
 「ぁ、……な、っに――ぁ、っん」
 家光は心得たとばかりに低く笑うと、その一点を集中的に攻め、獄寺を喘がせる。未知の快感に、獄寺は翻弄されるままだった。獄寺の蕾を十分に慣らしてか ら指を引き抜くと、家光は既に堅く張りつめた自身を取り出した。
 「あ、……やっ、…――」
 「心配するな。優しくしてやるよ――ツナ、みてえにな」
 「っ――――、っ、」
 声にならない悲鳴が、獄寺の口から漏れる。
 獄寺が恐怖に逃げを打つ前に、家光は自身で獄寺の蕾を一気に貫いた。ぎちぎちと蕾を割かれる痛みに、獄寺の瞳からはらりと涙が零れた。
 「うーん、きついねえ……やっぱりツナとはまだだったか?」
 「ん、……くっ、は……ぁ、」
 「おじさんに教えてくれよ。ツナとはもう、やったのか?」
 なあ獄寺君、耳元で囁かれ、同時に深くなった結合に獄寺は激しく首を振った。きらきらと銀髪が虚空を舞う。獄寺は涙ながらに言葉を紡ぐ。
 「て、……ない、っ――じゅ、……だいめ、とは……ま、だ、」
 「そうかそうか」
 初めて奪っちゃってごめんねー、家光は朗らかに笑うと、後ろから獄寺を抱きかかえるようにして自身の膝に乗せて下から獄寺の秘肉を強く突いた。自身の体 重も加わり最奥まで犯され、獄寺は首を反らして声を上げかける。しかし同時に隣室で寝ている綱吉の存在を思いだし、きつく唇を噛み締める。家光はそんな獄 寺の痛ましい努力を鼻で笑うと、若い身体を激しく犯した。下から突き上げながら、片方の手で獄寺の胸元を捏ね繰り回し、もう片方の手で花芯を扱く。同時に 多くの快楽を流し込まれ、獄寺は涙を流して身体を蝕む快楽に翻弄された。噛み締めた唇に血が滲む。
 「ん、……ゃっ、お、父、…さ、…まっ」
 「“家光さん”って呼んでごらん?な、…隼人」
 家光は獄寺の耳を軽く喰みながら、熱い吐息を流し込んだ。獄寺は瞳を揺るがせ、震える唇を僅かに開く。
 「ぁ、ふ……ん、い、え…みつ――さ、っん――」
 「いい子だ」
 家光は満足げに微笑むと、自身の息子が愛する少年の鎖骨にかりりと歯を立てた。獄寺の肩がぴくりと跳ねる。
 「く、ふぁ………ん、っ―――」
 花芯の先端を指先で押し割られ、獄寺はあまりの快楽の前に屈した。
 絶頂時のしめつけに、家光も自身の欲を獄寺の中に全て注ぎ込んだ。



 
***




 「じゃあまた学校でね、獄寺君」
 「はい、お邪魔しました」
 家前の門まで見送りに来た綱吉に笑顔で答え、獄寺はぺこりと頭を下げた。瞬間腰に走った鈍痛を、笑顔でやり過ごす。
 目が覚めたら獄寺は綱吉の部屋にいた。服は整えられ、身体は清められていたが、腰に残る痛みと鎖骨に残る所有印は 昨晩のことが夢でないと語っている。 じわりと広がる痺れにもにた感覚に、獄寺は服の上から自身の胸元を押さえた。
 「獄寺君?」
 その声に顔を上げれば、心配そうにこちらを見つめる綱吉と目があった。
 「なんか顔色悪いけど……大丈夫?」
 綱吉の瞳に全てを見透かされてしまうような気がして、獄寺は頭を下げることでその瞳から視線を反らす。
 「大丈夫っす。ちょっと夢見が悪かっただけです。ご心配おかけしてすみません」
 一息にそう伝えれば「そう、」と頭上で綱吉の声が聴こえ、それがあまりに優しく響いたから獄寺はもう一度胸元を押さえた。
 「うおっス、ツナ。獄寺君も、…もう帰るのか?」
 「っ、」
 響いた声に、獄寺は弾かれるように顔を上げた。綱吉のうしろ、現れた家光はにこにこと笑みを浮かべ、獄寺を見つめていた。その瞳に一瞬、昨晩自身を見下 ろしたそれに似た色を見つけてしまい、獄寺は小さく
 「はい、お邪魔しました」
 と笑顔を浮かべるしかなかった。
 家光は獄寺の頭を軽く撫でると、
 「またおいで」
 といった。頭を撫でる指先が一瞬、ゆるりと髪をひと房つかみ、獄寺の背にぞくりとした何かが走る。
 「はい、また……」
 獄寺は笑みを浮かべたままま会釈をし、踵を返した。
 背中に感じる視線にじくりと痛みを増す腰の痛み、
 獄寺はもう一度、胸元を押さえた。






2011.01.15