「……. grazie mille, a piu’tardi allora.」 その言葉を最後に、電話は切られた。電話を見つめ、僅かに微笑む気配がした。 見たことのない、表情だった。 「誰と話してたんだ?」 獄寺の肩が大きく跳ね、弾かれたように振り返る。鼻先を掠めた銀髪ににっこりとほほ笑み、隼人、と呼びかける。 「山本、お前いつから……」 「たけし、だろ?」 驚愕に掠れる声を耳に、笑みを深める。獄寺がひくり、と喉を鳴らしたのを見て、振り上げた手で獄寺の手を払う。弾かれた獄寺の手から握られていた携帯が 飛び、飛んだ携帯は床を滑って壁にぶつかり大きな音を立てた。獄寺は呆然と携帯を見送って、しかし次の瞬間掴みかかってきた。 「山本、てめえ何しやがるんだ!」 「だから、」 獄寺の肩に手を置き、また、にっこりと笑う。 「たけし、って呼べっていってるだろ?」 「っ――……!!」 獄寺の目が、見開かれる。滲んだ緑の目が、とても綺麗だ。獄寺の瞳を見つめながら、その薄い腹にめりこませた拳に力を込める。かは、と獄寺の口から乾い た吐息が漏れる。拳を外せば獄寺の身体は崩れ落ち、獄寺は身体を丸めて激しく咳き込んだ。腹への衝撃に、咳き込みながら胃の中のものを吐きだす獄寺を見つ め、あーあ、と溜め息を吐く。 「やっぱり隼人、ロクなもん喰ってねえじゃん」 むっと広がる鼻をつく匂い。満足に食べていない獄寺が吐き出すのは胃液だけだ。獄寺は放っておくとロクに食べないから、心配してたんだ。中学の頃は訪れ る度に差し入れと称して親父の寿司を食べさせたり、学校帰りに俺の家に寄らせて食べさせたりしていたけど、高校になってからはそれもめっきりだ。さっき手 渡した寿司は、今は冷蔵庫の中だろうか。後でちゃんと食べさせてやらねえとな。 そう考えてげほげほと咳き込む獄寺を引きずり上げ、唇を奪った。 ここが一番酷い暴
力描写(嘔吐シーン)なので、これが大丈夫ならきっと大丈夫です。
「隼人」「武」呼びが書けて満足です、お腹一杯。 この後はリボコロで獄寺君ちの寝室にピアノがあると知ってからずっと書く機会を狙っていたピアノ上deエッチ、で す。 山獄はやっぱいい。 |