ふすま
パブロフの犬 sample











 奇妙な緊張感に、獄寺はじわりじわりと体が熱くなってくるのを感じた。
 (熱い?)
 自分がそう思っていることにふと疑問を感じて、獄寺は首を傾げた。そういえば、先ほどから体の奥から噴出してくるような熱を感じる。
 「………っ、」
 一度意識してしまうと、急激に体温が上昇したような気がした。心臓が早鐘をうち、足の力が抜けてくる。意識が朦朧とし、視界がじんわりと涙に滲む。
 (おかしい)
 先ほど口にした酒は確かに度数の高いものであったかもしれない。しかし幼い頃から水のようにワインを口にし、最近では仕事がらみでも酒を口にすることが多くなった自分がここまで急に足にきてしまうほど弱いはずがないと、獄寺は朦朧とする頭の中で思考を巡らせる。
 「っ……、は、――」
 明らかにおかしい自身の体に、獄寺は忙しなく熱い吐息を吐いて体を襲う熱をやり過ごそうとした。しかし熱が静まる様子はなく、さらなる勢いをもって獄寺の体を内からやいていく。座っていることすら困難になり、獄寺は両手を寝台についてうなだれ、ただ嵐のような熱が去るのを待った。
 「隼人」
 「ぁ、……っ、」
 突然思わぬ近さから発せられた声に、獄寺は身を竦ませた。揺らめく瞳が彷徨い、すぐ横の触れ合わんばかりの場所にあるシャマルの瞳を捕らえる。思わず口を開くが、そこから出たのは意味をなさない喘ぎ声だけだった。
 「効いてきたみてえだな」
 「ああ」
 ディーノはゆっくりと寝台に近づくと、シャマルの後ろから獄寺を覗き込んだ。ディーノは俯く獄寺の顎を掴んで強引に顔を上げさせると、そのとろけた緑色の瞳を覗き込んでうっそりと笑った。じんわりと涙に潤む瞳に、既に理性の色は存在を気弱にさせている。
 「ぁ、……ぁ、ぅ……ん、」
 口から洩れる喘ぎはすでに自分のものではないように思える。ただ、身体が熱かった。獄寺はゆるく頭をふるって自身に纏わりつく熱を振り払おうとした。ぱさり、と髪が首筋を撫で、それすらにも不可解な快楽を覚えてしまう。
 「は、……ぅ、……、」
 かくり、と腕で支え切れなくなった身体が寝台に沈む。やわらかなシーツは音もなく獄寺の身体を受け止める。ぼんやりと涙に滲んだ視界の中、ふと、獄寺は誰かに頬を撫でられていることに気がついた。
 「……じき慣れる。大丈夫だ」
 聞き馴染んだ声に、獄寺は無意識のままに手を伸ばしてその温もりを探す。体中が熱くなり、呼吸をすることすら困難になる。獄寺ははぁ、と浅い吐息を繰り返しながら、じんわりと額に滲む汗を振り払おうとゆるゆると首を振った。











笑ってしまうほどの無理矢理設定
エロ本を謳っているので、文体も潔く三文エロ小説風味
獄寺君の台詞の半分以上が喘ぎ声とか、そんな感じです

こちらの御本をお買い上げいただきますと、もれなくりんこの「おお、心の友よ!!」というきらきらな眼差しがついてきます(ぇ)