雨夜の月 最後の書類を片付け、机上の時計に目をやる。 書類とにらめっこをしていて、思ってた以上に時間が経っていたことに気付く。 休憩がてら煙草を吸おうと、座っていた椅子から腰を上げ、窓へ向かう。 視線を上げると、満月が顔を覗かせていた。一服するのに乙なものだと、机に戻り、ランプの明かりを消す。 月の光がすっと窓から射し込み、部屋を照らす。部屋の陰影が濃くなり、静寂が訪れる。 窓枠に寄り掛かりながら、煙草に火を点ける。口に咥えたところで、しとしとと雨が降る音が聴こえてきた。 夕方にジョットの厄介事を片付けに出掛けて、未だ戻らない雨月が思い浮かぶ。 傘なぞ、持って行きはしなかっただろうに。難儀な事だと思う。 「月夜に雨とは。お前の仕業か?雨月」 思わず呟き、ふと門に目をやると、まだ遠いが、雨など降っていないかのように飄々と歩く雨月が見えた。 |
月に叢雲 ジョットに頼まれた用事の為、夕方から出掛けていたが、中々終わらず、遅くなってしまった。 今夜は満月で、夜道も歩きやすい。昼間見るのとはまた異なる、日本とは違う街並みを眺めつつ歩く。 あと少しで着くという段になって雨が降り始めた。折角の月夜も台無しだなと思う。 これは早く戻らなければ、借りている服が濡れてしまうと少し速度を上げた。 しかし、その甲斐も無く雨足は強くなる一方だ。こうなっては致し方有るまいと、速度を緩める。 雨が降っている街並みは、常とは異なる風情があり、良いものだ。 すると、月が陰って来た。これは、もしやと思い、ようやく目前へ現れた屋敷へ目を向けると、2階の窓枠に凭れ掛かっている御仁を見つけた。 月明かりなど無くても輝く銀髪。同じ色の睫毛が持ち上がると現れる、鮮やかな翠色の瞳。 彼が居る所だけ、月が出ているかの様に明るい。 「やはり、貴方でしたか。月が恥ずかしがって隠れる程に、相も変わらず美しい」 |
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― G様のお色が違うのは、公式発表前に書いたからです、すみません。あと、雨Gではないです。こんなに砂吐きの甘々でも、初代の雨嵐は互いになんとなく良い奴だなってレベルにしかなりません。だってジョット様がいらっしゃいますから。幼馴染設定は、偉大だと思います! カツキ カツキ様から頂きました、雨月とG様のお話しです。 お互いなんとなく良い奴だなと思いつつも、越えられない壁(=ジョット)の存在に、それ以上になることはない雨月とG様の関係。しびれます。 本当に、幼馴染設定は偉大ですよ、ね!あれはずるい!! さらりとかの光源氏なみの台詞を口にする雨月に思わずテーブルをばんばん叩いてしまったのは私です。 そのうちG様に歌でも詠めばいいんじゃないかな、と。 まあ、ナチュラルに普段から歌ってそうですけどね、ござる氏。 きゅん、とするようなお話をありがとうございました♪ 次はアラウディとG様のお話しなど、書かれてはいかがでしょう?(←は?) りんこ 2010.6.6 |