Gはテーブルの上に無造作に置かれていたビンの一本を取り上げると、一息に中身を呷った。淡く主張する喉仏が上下し、唇の端から溢れた赤いワインが一筋首筋を伝う。その様を、呼吸も忘れて見つめていたジョゼフは、ついと向けられた紅の瞳に息を呑んだ。 「お前も飲むか?」 そう言ってボトルを掲げるGの唇は濡れ、いつの間にか傾き始めた陽の光を映して妖しく艶めく。ジョゼフは声が震えそうになるのを、拳を握りしめることで抑える。 「まだ仕事が残っているので――」 軽く手を上げ答えたジョゼフに、Gは片眉を上げると 「律儀だな」 赤い唇を歪めて笑う。ジョゼフはGから目を離すことが出来なかった。 ことり、とビンをテーブルに戻すと、Gは部屋の中心に置かれたベッドに腰を下ろした。ぎしり、と僅かにベッドが軋む。細い指でしゅるり、ネクタイを解くと、Gは突っ立ったままのカルロを見上げた。 「もうすぐプリーモが帰ってくる……俺もまだ“仕事”が残ってるから、これからその準備をしなくちゃなんねえんだけど」 Gは目を細め、唇を舐めた。 「見てくか?」 「何を……」 Gの目に見つめられたジョゼフはその場から動けなかった。戸惑うジョゼフに唇を釣り上げると、Gはジョゼフの前でブーツを蹴ってベッドから落とし、首からネクタイを抜き取った。ぱさりと絨毯に投げ出されたネクタイを反射的に目で追ったジョゼフは、 「その椅子に座れ」 掛けられた声に弾かれたように顔を上げた。ゆるく上げられた腕が示すままに背後を振り返えったジョゼフの目が、ビロード張りの椅子を捉える。そして、その後 ろの壁に掛けられている大きな鏡を認めた。最低限の家具しかない整然とした部屋に、その鏡は奇妙な存在感を持って鎮座している。ジョゼフは鏡を見つめた。鏡 越しに、Gとジョゼフの視線が重なる。重なる視線をそのままに、Gは細く白い指先でシャツのボタンをひとつひとつ外していく。瞬きすらせず、Gはシャツを挑 発的に脱ぎ捨てた。ぱさり、と白いシャツが床に落ちる音。ジョゼフ、と鏡の中でGがその名を紡ぎ、ジョゼフは呼ばれるままに振り返ると椅子を動かしGの目の前 に腰を下ろした。 「いい子にしてろよ?」 Gは猫のように喉の奥で笑い、ベルトに手を掛けた。 ジョゼフはGの直属の部下、ということでひとつ この後はGのG慰シーン |