*以下、ちょっと暴力描写含みます


 
 「俺がどういう手段を使おうと、てめえの知ったことじゃねえ!これは遊びじゃねえんだ。俺のもの、だとか・・・甘ったれたこと言ってんじゃねえよ!」
 獄寺の言葉を聞いた山本の顔から、一瞬表情が消える。その瞳に渦巻く冷たい炎が、また違う輝きを見せる。唐突に、山本は声を出して笑い出した。乾いた笑い声がその唇から漏れ、壁に反響して獄寺の鼓膜を揺らす。獄寺はぞっとした。
 「・・・―――確かに、な」
 山本は暫くそうして笑い続けると、改めて獄寺に向き合った。
 瞳が、ゆらりと揺れる。
 辺りを取り巻く空気が、変わった。
 「く、っ――・・!」
 次の瞬間、振り上げられた山本の拳が獄寺の頬を打った。まともに殴られた獄寺の身体は飛び、壁にぶつかってずるずると滑り落ちる。頬の内側が切れ、獄寺の口内に鮮血が溢れた。
 山本は唇を拭って、口に広がる血と共に唾を吐くと、床に崩れ落ちて身体を震わす獄寺を覗き込んだ。
 「これは遊びじゃないのな」
 「・・・、ぁぐっ――」
 上げられた獄寺の細首に、山本は自身の指を絡ませた。そして、ゆっくりと指に力を加えていく。
 「っぐぅ・・・、・・ぁ、・・」
 首に食い込む山本の指に、獄寺は顔を歪めた。山本は獄寺の首を絞めながら、壁を伝わせてその身体を引き上げる。身体を床から引き上げられるに連れて首に掛かる負荷が大きくなり、獄寺の顔が苦しみに歪む。山本の指を外そうと藻掻いていた身体は、次第に力を失ってぴくぴく痙攣しだした。
 「ぅ、・・・・ぁ、・・・・、」
 堰き止められた酸素を求めるように、獄寺は舌を突きだして喘ぐ。山本は苦しむ獄寺の顔をじっと眺め、獄寺の指先がだらりと身体の横に垂らされた頃になってやっとその指を解いた。
 「ごほっ・・・、はぁ、・・・・はっ――」
 気道に入り込んできた大量の酸素に、獄寺は激しく咳き込むと床に座り込む。こめかみを通る血液の流れる音が、ずきずきと頭に響く。荒い息を吐く獄寺を無言のまま見下ろしていた山本は、突然獄寺の髪を乱暴に掴んだ。
 「い、・・・っ―・・・、」
 「立てよ」
 髪を引いて無理矢理立たせると、山本は腰に据えてあった愛刀を抜き取った。普段木刀の姿をとっているそれは、いつの間にか殺傷力を持つ刀へと姿を変えていた。山本は赤く指の跡の残る獄寺の首元に、その刀面をひたりと押し当てた。ぴくり、と獄寺の身体が震える。
 「動くなよ」
 「や、・・・まも、・・・と」
 獄寺は山本を見て、そして全身が総毛立つのを感じた。山本の瞳は、夜の海のように暗く、冷たく、獄寺を映していた。
 「動くな」
 山本はもう一度そう言った。何か言わなければ、と震えた獄寺の唇に、山本は刀をその首元にさらに強く押しつけた。
 「っ――・・・」
 ぴりり、とした感覚が肌の上を走る。刀によって傷付けられた首元の柔な肌に、薄く血が滲む。
 「お前が言ったんだぜ?これは、遊びじゃない」
 そういってにやりと唇を歪める山本に、獄寺は確かに恐怖という感情を覚えた。








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獄が任務遂行のために身体使ったり、
山が獄に異物(拳銃)挿入したりしてます